会計年度任用職員の採用で出来レースはできない
会計年度任用職員の採用における出来レースとは
会計年度任用職員の採用における「出来レース」とは、「職員公募や選考は行われるが、採用する人が公募前から内々に決まっていること」を指します。
【出来レース】
“はじめから勝敗が決められている、仕組まれた勝負事。出来合いのレース。”
「出来レース(できレース)」の意味や使い方 Weblio辞書
結論からいえば、会計年度任用職員の採用における出来レースはできません。
総務省マニュアルで会計年度任用職員の募集方法を規定
会計年度任用職員制度を所管する総務省が作成したマニュアルでは、会計年度任用職員の選考方法が規定されています。
その内容を簡単にまとめると以下のようになります。
会計年度任用職員の募集及び採用時は
・ホームページで広く募集を行うこと
・年齢や性別にかかわりなく均等な機会を与えること
・能力の客観的評価を行うこと
そのため、どの自治体も、会計年度任用職員の採用にあたっては、公募を行うことととしています。
客観的な選考により出来レースはできない
受験者の評価は、コンピテンシー評価型面接により実施され、客観的な選考がなされるため出来レースはできません。
コンピテンシー評価とは、優秀な成果・成績を生み出すことのできる人に共通してみられる行動特性(コンピテンシー)を基に、評価項目や評価基準を設定して、評価する形式のことをいいます。
国が取り入れているこのコンピテンシー評価型面接に準じて、地方自治体も評価項目を設定し面接を行っています。
評価項目は受験先によって異なりますが、人事院によれば、「積極性(意欲、行動力)」「社会性(他者理解、関係構築力)」「信頼感(責任感、達成感)」「経験学習力(課題の認識、経験の適用)」「自己統制(情緒安定性、統制力)」「コミュニケーション力(表現力、説得力)」の6つの項目に基づき、「優」「普通」「劣」の3段階で評定を行い、総合評定をA~Eで行うこととなっています。
また、複数人の面接官による多面的かつ客観的な評価が行われるため、受験者の見た目や好き嫌いなど曖昧な基準で採用することはできなくなっています。
出来レースがばれた時のリスクが大きい
出来レースがばれば事例があります。
2019年11月、福岡県みやこ町の採用試験で、知人の息子が合格するよう便宜を図ったとして、町議があっせん収賄容疑で逮捕され、最終面接を担当した副町長が地方公務員法違反容疑で書類送検されました。
このような前例があるため、逮捕されるリスクを冒してまで、一般職員である面接官が会計年度任用職員の採用で出来レースを仕込むとは考えにくいです。
以前は「臨時職員」の採用で出来レースが存在した
会計年度任用職員の採用で出来レースはできないはずなのに、出来レースがあるのではないか、という噂が出るのはなぜでしょうか。
それは、会計年度任用職員制度が導入される2020年度より前は、全国で統一的な採用のルールがなかったため、「臨時職員」などの名称で、現雇用者の継続雇用や関係者の紹介による採用、いわゆる出来レースが行われていた実態があったからだと推測されます。
会計年度任用職員の出来レースの見分け方
会計年度任用職員の出来レースの見分け方はあるのでしょうか。
募集の段階では見分けることは困難ですが、採用者が公表された後、結果的に出来レースであったかどうか見分けることはできないこともありません。
具体的には、会計年度任用職員を募集している担当部署に、採用過程と結果に関する情報公開請求を行うという方法です。
情報公開請求の結果、採用の理由が不明瞭であったり、評価結果に明らかに偏りがあるような場合は、何らかの力が働いたと捉えることができなくもありません。
しかし、採用過程や個人情報については情報公開の対象外の可能性があることに加え、受験先に不審人物としてブラックリスト入りする恐れもありますので、情報公開請求をする場合は自己責任で行ってください。
会計年度任用職員に受かるには正攻法で対策することが大事
会計年度任用職員に受かるには、正攻法で対策することが合格への近道でしょう。
会計年度任用職員の面接の攻略法については、下記記事をご参照ください。
それでも、会計年度任用職員の採用方法に不信感をお持ちであれば、民間企業への就職を検討されることをおすすめします。